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DEAD POP FESTiVAL 2018

天下布武を掲げる時代の牽引者

DEAD POP FESTiVAL 2018
2018/6/30(土)7/1(日)@川崎市東扇島東公園

強い日差しがさんさんと降り注ぐ中、多くの観客が足早に入場ゲートをくぐる。初の2日間ソールドアウト。例年以上に熱気と興奮が渦巻くこの会場で、シーンを代表する歴戦の猛者たちがしのぎを削り合う。最高の2日間になる確信があった。

 

 

初日で印象的だったのは、出演者が口々に「次はライブハウスで…」と言っていたこと。トップバッターのSUPER BEAVER、大地が揺れるほど盛り上げた盟友・coldrain、「屋根のないライブハウスは最高やな!」とCHAOS STAGEのトリを飾ったGOOD4NOTHING。そして「フェスはただのカタログに過ぎません。今まで知らなかったバンドを観てほしい」と言ったSiM。「壁を壊す」というコンセプトを掲げて過去9回開催されてきたこのフェスは、次の段階に来たと言っても過言ではない。この日、ONE OK ROCK、GLIM SPANKY、女王蜂とバラエティに富んだバンドが出演していることからも、SiMがやろうとしていることが伺える。

 

 

夕暮れの中、堂々とした佇まいでCAVE STAGEに登場したSiMの4人。「Amy」「GUNSHOTS」などのキラーチューンで土煙が上がるほどオーディエンスを暴れさせ、HEY-SMITHのイイカワケンを招いて「Rosso & Dry」で酔わせ、前述したMC「フェスはただのカタログに過ぎません。知らなかったバンドを観てほしい」に続いて「音楽には不思議な力があって俺は信じてなんかいません。もう知っているから」と牙をむく。おそらく彼らは音楽の力を利用して、理想と現実が乖離した日本のロックシーンを変えようとしているのだろう。

 

 

2日目で印象的だったのは、SiMの世代を超えた影響力を目の当たりにしたこと。coldrainやHEY-SMITH、CrossfaithやSHANKと築き上げてきた場所に、04 Limited SazabysやBLUE ENCOUNT、THE ORAL CIGARETTESやヤバイTシャツ屋さんなどのネクストジェネレーション、そして10-FEETや東京スカパラダイスオーケストラなど上の世代をも巻き込み、大トリのステージで「暴れるだけが、騒ぐだけが、ルールを破るだけが本来のロックじゃねえ」と、自らの意志を堂々と主張し、そして体現してみせる。今までたくさんのことを有言実行してきた彼らの音と言葉からは、強い説得力を感じさせる。

 

 

Vo.MAHは「ロックフェスという言葉が軽ーい、ファンシーな感じになっていて。でもそんな中で、こんな俺らが、こんな出演者たちとやっている“DEAD POP FESTiVAL”にハマってしまったお前ら、もう、あっち側には戻れねえよ!」と高らかに笑って「JACK.B」「Get Up, Get Up」で凄まじい気迫のライブを見せつける。そしてアンコールでは体力がほとんど無くなっていたはずのオーディエンスを「KiLLiNG ME」「f.a.i.t.h」で爆発させ、完全燃焼で終演。全力で駆け抜けた汗だくのオーディエンスたちは、心地よい潮風を浴びながら笑顔で会場を後にする。

 

SiMが夢を現実に変えたフェス、“DEAD POP FESTiVAL”。彼らは日本のロックシーンを自分たちの理想にすべく、また新たな一歩を踏み出した。来年で10回目、天下布武を掲げる時代の牽引者は、また我々に新たな景色を見せてくれるだろう。

PHOTO:kohei suzuki
TEXT:Takeshi.Yamanaka

 

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