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Nothing’s Carved In Stone Vo./G.村松拓 連載『続・たっきゅんのキングコングニー』
Vol.15:Nothing’s Carved In Stone 日本武道館ワンマン後インタビューの巻

Vol.15:Nothing’s Carved In Stone 日本武道館ワンマン後インタビューの巻

2018年10月7日、日本武道館ワンマン公演“10th Anniversary Live at BUDOKAN”を大成功におさめたNothing’s Carved In Stone。今月号では別ページでライブレポートも掲載しているが、たっきゅんを追い続けている当連載では、ライブ中の彼がどのような心境だったのか、ステージから見る景色はどのようなものだったのかを、当日を振り返りながらじっくりと訊いた日本武道館ワンマン後インタビューを敢行。記憶に刻まれた一夜を振り返る。
 
 
 
 
 
 
 
 
 


Nothing’s Carved In Stone 10th Anniversary Live at BUDOKAN
2018/10/7@日本武道館 セットリスト

01.Isolation
02.Spirit Inspiration
03.Like a Shooting Star
04.You’re in Motion
05.Brotherhood
06.The Poison Bloom
07.In Future
08.Directions We Know
09.Midnight Train
10.村雨の中で
11.Red Light
12.Damage
13.Gravity
14.青の雫
15.Mirror Ocean
16.Bog
17.Milestone
18.Rendaman
19.白昼
20.Out of Control
21.きらめきの花
22.November 15th

E-1.シナプスの砂浜
E-2.Shimmer Song
E-3.Around The Clock

 
 
 
 
 
 
 
 
 

「武道館でやったことがどうとかではなく、あそこでみんなと一緒にどういう気持ちになれたかが、なによりの財産だから」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
武道館から約1ヶ月経ちましたけど、拓さん自身の感想としてはどうでしたか?

 
 
思ったほど緊張しなかったし、“バンドがすごくいい状態なんだな”と思ったのと…あとはすごくあっけらかんとした感想になっちゃいますけど…。

 
 
全然いいですよ。

 
 
…すげぇ楽しかった(笑)。それがデカい。

 
 
あまり緊張しなかった?

 
 
ちょっとはありましたけど、いい意味での緊張感だったというか、気合いは入ってましたね。

 
 
当日は何時に会場入りしたんですか?

 
 
昼過ぎくらいだったかな。リハーサルは14時過ぎくらいにはやってたから。朝7時くらいからお客さんが並んでくれていたみたいで、俺が会場入りしたときもいっぱい並んでくれていたんですけど…“うーん、これすごいな”と思って(笑)。

 
 
どういうことですか?

 
 
今まで何度も行っている武道館…九段下の駅から歩くとみんな同じようなTシャツを着ていて、“確実にこれは武道館に向かっている人たちの群れだな”という感じあるじゃないですか。

 
 
武道館でライブがあるとき、駅もお客さんでいっぱいですもんね。

 
 
そういうのを客として見てきて、行くたびに想像したりもしましたけど、(会場入りしたときに)それが現実になったなと思って。

 
 
うんうん。前のインタビューでセットリストは早めに決めたとおっしゃっていましたけど、1曲目はなぜ「Isolation」にしたんですか?

 
 
「Isolation」や「November 15th」「Diachronic」は意味としてもはじまりの曲だし…まあ「Diachronic」は今回演らなかったですけど…「Isolation」は僕がいちばん最初に歌った曲でもあるし、いちばん最初のライブで1曲目に演った曲で。それに、みんな僕らの10周年を観に来てくれているから…そういうところがこの曲を1曲目にした理由かな。

 
 
「Isolation」が始まって、客席が一気にワーッ! となりましたよね。

 
 
なってた(笑)。俺ら最初、音出すときに向き合ってライブを始めましたけど、あれは特に打ち合わせしていたわけでもなかったんですよ。

 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
あ、そうなんですか。自然な流れでドラム前に集まった。

 
 
自然と集まって、メンバーの顔を見ても全然自然で。ガーッ! ガーッ! と鳴らして後ろ…客席を見たらウワーッ! となってて興奮した…えっと。

 
 
ん?

 
 
武道館の感想があっけらかんとし過ぎてて、いいこと言えない(笑)。

 
 
別にキングコングニーなんだからいいこと言わなくてもいいですけど(笑)、そういう意味ではリラックスしていたということなんでしょうか?

 
 
言葉で説明するのは難しいんですけど、思っていた以上に客席がすごく近く感じたんです。Zeppの2階席とかよりも全然近く感じて、なんか不思議なパワーを感じたというか。自分自身もそういうつもりだったからそう感じたのかもしれないけど、結構気合い入ってたし“空回りするかな?”と思っていたんですけど、全然そんなこともなく。いつものライブハウスでライブをしているような感覚でしたね。ずっと

 
 
個人的に曲で意外だと思ったのが「Midnight Train」なんですよね。ちょっと珍しいなと。

 
 
最初の段階から候補にあがっていたんですよ。ウチのメンバーはみんなこの曲が好きで、事ある毎に候補にあがるんだけど、セットリストを詰めていく中で候補から外れがちだったんです。

 
 
「メンバーはみんなこの曲が好き」というのはどういう感覚なんですか?

 
 
曲として洗練されている度合いと、俺たちが出しているクセみたいなもののバランスがいいんですよ。歌詞に関してもそうだし。いい感じで自分たちのカラーが出ていると思っていて。あと、ライブの中での飛び道具になりやすい。

 
 
なるほど。あとすごく印象に残っているのが「Red Light」。この曲を始める前、今までと比べてよりはっきりと曲の背景とか込めた想いを説明しましたよね。

 
 
はい。

 
 
それが結構衝撃的だったし、その後実際に「Red Light」を聴いたとき、気持ちの量や質感がリアルに伝わってきた感覚があって。

 
 
「Red Light」を歌うとき俺はいつも同じ気持ちだから、武道館のときも違いは特になかったんですけど、大切な人のことを歌ってるし、自分と同じような気持ちの人のことを想って歌っているし…と思うと、武道館に約1万人が居て、少なからずみんな僕と同じような想いをしているだろうなと思って。そういう意味でみんなの代わりに歌っているつもりというか、みんなの代わりに言っているつもりというか。そうありたいなと。

 
 
なるほど。「Red Light」だけじゃなくて、武道館では拓さんが曲に入る前に話す内容が印象的だったんです。曲をより届けるための言葉が多かった。

 
 
ああ〜、そうですね。でもそれはずいぶん前から…『Existence』のツアー辺りから、ライブのクオリティを上げることをずっと考えていて、ずっと意識していたことで。曲があるから下手なMCを治そうとは思わないけど、曲に対してどういう風にみんなが思えるだろうか? というところ、そこに繋がる言葉がきっと自分の中にあるだろうなって。それを自分なりに洗練させたいという想いがずっとあって、全部それは曲とかライブのためなんだけど。

 
 
はい。

 
 
話が上手いとか、要点を綺麗にまとめて簡潔にしゃべるとか、それは客観的に見たらわかりやすいですけど、そういう基準ではなくて。ライブの中で俺が言う言葉として本当に相応しいのかどうか…武道館だからこそというわけではなくて、きっと俺たちと同じような想いを持っている人たちの前だからこそ、より伝わる言葉を吐きたいというか。

 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
うんうん。

 
 
伝わりにくい言葉でも逆により気持ちが伝わることもあるだろうし、そういうことをすごく考えていた2〜3年だったんです。それが形になってきたのかなって。まあそれは来てくれたみんなのおかげだと思うんですけどね。そういう気持ちになれたから。

 
 
「同じ好きなものを共有している仲間」「似たような感性を持っている仲間」みたいな表現は、何度も言っていましたね。

 
 
そうそう。あれすごいですよ。「同じ好きなものを共有している仲間」と言った途端、武道館のみんなが本当に輝いて見えるというか(笑)。

 
 
わかります。言われた側もそうでした。ステージの4人も含めて全員が同じものを好きな仲間って…素晴らしい。

 
 
ひとつの結論というか、そこしかないなって。Nothing’s Carved In Stoneってそういうバンドだなって。すごくみんな音楽に期待して来てくれていると感じますし、そこを僕も信頼している。だからそういう言葉が出てきたし、俺もお客さんにそういう気持ちにさせてもらっている気がするんです。

 
 
来れなかった人もたくさん居たんでしょうけど、同時にあの場所に好きなものを共有している人たちがギュッと集まるって、すごい現象ですよね。

 
 
フフフ(笑)。すごい現象ですよ(笑)。だから武道館はすごくリアルでした。ステージで言ったあの言葉がすべてですね。俺、考えてなかったんですよ。あの場で「武道館に立ちたかったんじゃなくて、武道館にみんなを集めたかった」という言葉が出て。

 
 
はいはい。

 
 
もともと全然あんなこと言うつもりはなくて。でもポッと言葉が出て、俺は“それがすべてだな”と思って。あの日のライブはあれがすべて。

 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
はい。

 
 
武道館をやる前、結構葛藤があったんですよ。10周年を迎えるときにどこでやろうか? と考えていたとき…。武道館で人が集まらないとファンをがっかりさせることになるじゃないですか。俺たちだけじゃなくてファンも怪我しちゃうから。

 
 
確かに。

 
 
そういう意味で結構葛藤があって、でも俺は信じていたんですよ。自分たちのバンドも信じていたし、たぶんライブに行きたいけど来れていない人たちもいっぱい居て、絶対に観たがっている人がいっぱい居ると信じていて。だから武道館の力を借りて、その人たちを一箇所にガーッと集めることが出来ると思って。

 
 
なるほど。

 
 
だからみんなのことを信じてよかったなって思います。

 
 
その有言実行は、バンドにとってすごく大きなことですよね。

 
 
デカいですね。まあでも、武道館をやるということは「そこを通過点にします」というファンに対しての1つの約束だと思うんです。だから“武道館やってよかったな”と思っていますけど、今はもうこれから先のことに目が向いているというか。

 
 
武道館がゴールではないですもんね。

 
 
そう。だからそういう意味で俺たち運がよかったんですよ。まじで武道館を目標にしていなかったから(笑)。だからこそ、あそこにみんなを集めたかったということに意味があると思うから、「武道館の力を借りた」っていう。

 
 
あのライブを観て、本当に初めての感覚になったんです。簡単に言うと「自分のことのように嬉しかった」というか。

 
 
それはみんなからすごく伝わってきました。びっくりした。楽しかったからまた武道館でやりたいという気持ちはありますし、もっとクオリティの高いものを自分たちは出来るようになるかもしれないけど、あの日と同じものをもう1回武道館でやろうという風にはならない。そういう、素晴らしい体験だった。

 
 
8ヶ月前に開催を発表したじゃないですか。その過程も含めての武道館ワンマンだったような気がするんです。

 
 
そうですね。10周年ということもあったと思うんです。みんなにバンドのストーリーを振り返ってもらって、共有して1つの場所で繋がっていくって、やっぱりいいですよね。その過程でお客さんも、なんで自分がこのバンドを好きでいるんだろう? っていうことの答えがあったりすると思うんですよ。音楽ってすごく曖昧だし、俺たちにとっては元は雑念だったりもするんだけど、それがどこに繋がりを見出していくかはわかんないものだから。みんな、その音楽を完全に理解しようとしない限りは、「好き」っていうだけで別に理由はどうでもよかったりするわけじゃないですか。でもそれをみんなで8ヶ月かけて辿り着いたっていうことは、素晴らしいことだったと思う。だから続けてきてよかったです。大事にしたいなって思いますもん。

 
 
それに、バンドと一緒にお客さんも武道館を通過したっていう感覚があると思うんですよね。

 
 
そうでしょうね。俺は有言実行に近づいていきたいから、「いつかスタジアムでやる」っていう…。

 
 
それ、ずっと前から言ってますもんね。

 
 
うん。気持ちは常にそこに向かっている感じです。観に来てくれた人たちはわかっていると思うんですけど、武道館でやったことがどうとかではなく、あそこでみんなと一緒にどういう気持ちになれたかが、なによりの財産だから。

 
 
本当にそうですね。

 
 
あのときの気持ちは、俺も、いちばん遠くに居たお客さんも絶対に同じで。その気持ちでこれからも俺はやっていくっていうことをいちばん伝えたいです。
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

ライブレポ:Nothing’s Carved In Stone 10th Anniversary Live at BUDOKAN 2018/10/7@日本武道館 僕たちはその渦中にいた。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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