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Kidori Kidori

新たなシーンを生み出す彼らの“渦”は多くの人を巻き込み勢力を増していく

2014/11/15@新代田FEVER
“Kidori Kidoriのタデ食う虫もウキウキツアー”
GUEST:ART-SCHOOL

PH_Kidori_main今年8月に2ndミニアルバム『El Blanco 2』をリリースして以来、各地で精力的なライブを繰り広げてきたKidori Kidori。“SUMMER SONIC 2014”や“RUSH BALL 2014”、“BAYCAMP2014”といった大舞台での経験は確実に彼らをレベルアップさせたはずだ。さらには9月からの本ツアーでは初めての土地も訪れ、様々な状況下でライブ力を磨き上げてきた。ファイナルシリーズの名古屋・大阪ではPredawn、8ottoという強力な先輩アーティストとそれぞれ2マンを行い、最後の最後に迎えたファイナルの新代田FEVER。この上ない相手と言えるであろうART-SCHOOLをゲストに、2014年の成果を映し出すようなライブの幕が上がる。

満員に埋め尽くされた会場の熱をART-SCHOOLが一層高めた後、いよいよ今夜の主役・Kidori Kidoriの登場だ。ステージに現れたメンバーを拍手喝采で歓迎する観客に対して、Dr./Cho.川元がもっと盛り上げろと言わんばかりに冒頭から手拍子を求める。そんな中で、持ち味であるホラーテイストのイントロが特徴的な「Zombie Shooting」でスタート。コーラスパートでは観客からの合唱が起こり、バンドサウンドに合わせて手が挙がっていく。続いての「HHH」では自然発生的に手拍子がフロアを包み、彼らが確実に受け入れられ支持されている様を目の当たりにした。

「El Blanco」や「This Ocean Is Killing Me」のような雰囲気のある静かな楽曲では音にじっくりと耳を傾け、「Silly」のようなソリッドな曲調では身体を激しく揺さぶるオーディエンス。次の楽曲を匂わせるようなMCから始まった「99%」への反応を見れば、会場へ集った人たちの中にKidori Kidoriの楽曲がいかに浸透しているかが伝わってくる。それはマニアックなジャンルまで含めて多種多様な音楽からの影響を消化吸収した上で、あくまでも“ポップ”なサウンドとして昇華できていることの証明と言えるだろう。だからこそ彼らは現代の音楽シーンにおいて、類まれな存在であり続けているのだ。

アイロニカルでトガったリリックや曲もありつつ、彼らのライブに不思議なユルさが同時に漂っているのは人間的な魅力も大きい。Vo./G.マッシュと川元が織りなす会話は2人の日常を想像させ、観る者を自然と笑顔に変えていく。新曲の「ホームパーティ」から「NUKE?」への流れは、ユーモアとシリアスさを併せ持ったパーソナリティを象徴しているかのようだった。「テキーラと熱帯夜」では会場全体での“テキーラ♪”大合唱が続く中で、メンバーが退場して本編終了。止むことのない“テキーラ♪”コールに呼ばれて、アンコールに登場するのは世界広しといえどもKidori Kidoriくらいだろう(笑)。

普段はやらないと言っていたアンコールに応えたのも、ファイナルという特別な舞台で良いライブができたという実感あればこそなのだと思う。来年2月には平成元年生まれ世代イベント“1989”を開催していくことも発表。第1回のフレデリックとgo!go!vanillasをはじめ、同世代のちょっと変な個性とセンスを持つ仲間たちと共に新たなシーンを創っていく。そんな覚悟や決意を表明するように演奏されたラストの「Come Together」に合わせて熱狂した大勢のオーディエンス。彼ら/彼女らも巻き込みながら、Kidori Kidoriはその渦をさらに大きく広げていくに違いない。

TEXT:IMAI

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