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是澤寿美

蜜と毒を歌う 二十歳のシンガーソングライター

蜜と毒を歌う二十歳のシンガーソングライター、是澤寿美。幼少の頃から歌うことが好きで、ずっとミュージシャンになると信じ続けていた夢の始まりは、2年前に初めて作った歌だった。そんな彼女が地元大阪から上京し、音楽をやっていく覚悟と宣言、そして夢を詰め込んだミニアルバム『コレサワ』を完成させた。自分の中で生じた等身大の想いを綴り、純度の高いメロディに乗せて鳴らされるその音楽は、聴く者/観る者を自然に巻き込んで楽しませる力を持っている。

 

●今作『コレサワ』を聴けば、いま是澤さんがどういう理由で音楽をやっていて、どういう気持ちで歌っているかということが伝わってきて。今作から解釈すると、是澤さんは音楽に対してかなり強い想いがあるし、今作には“夢”という言葉が何度も出てきますが、その“夢”は荒唐無稽なものではなくて、そこに伴う難しさや厳しさ、不安なんかも含んでいますよね。どのような経緯で歌うようになったんですか?

是澤:3歳くらいからピアノをやっていたんですけど、幼稚園くらいの頃から“音楽をやっていくんだろうな”と自然に思っていました。歌も好きだったから、鏡を見ながら自分で作ったメロディを歌っていて。

●鏡を見ながら?

是澤:洗面所に上半身だけ映る鏡を見て、ちょっと離れて立って、ラムネ入りの玩具のマイクを持って歌っていました。その頃から大きくなったらそのまま歌手になると思っていたんですけど、こんなに難しいとは思っていなかった(笑)。

●ハハハ(笑)。

是澤:高校のときに軽音楽部に入ってギターを覚え、バンドを組んだりしていたんですけど、ずっと歌手になるという夢は変わらなくて。高校生のオリジナル曲限定のオーディションに応募したんです。そこで初めて曲を作って。

●え? ずっと歌手になりたかったのに、そこで初めて曲を作ったんですか?

是澤:そうです…よく考えたら私アホですね(笑)。なんでそれまで作らなかったんだろう?

●そうですね(笑)。

是澤:でもなんとか曲を作って応募して。そしたら全国大会まで行けたんですよ。SHIBUYA-AXで全国大会があったんですけど、大阪から初めて東京に来て。

●はい。

是澤:でもそこで何も賞が獲れなかったんです。1000人以上のお客さんの前で緊張して何も盛り上げることができないし、その空気が怖くて思ったように歌えなくて…それがすごく悔しかったんです。“なんであそこまで行ったのにダメだったんだろう”って。子供の頃からなんとなく歌手になると思っていたけど、そこで“絶対に音楽でやってやる”という覚悟が固まったんだと思います。

●なるほど。

是澤:その頃から地元のライブハウスで月に1回くらいライブをするようになって。自分でデモを作ってオーディションに応募して今の事務所に出会ったんです。

●今作を聴くと、綺麗事を歌うだけではなくて、怒りのようなネガティブな感情も含んだ内面を表現するタイプのシンガーソングライターだと感じたんです。でもライブの是澤さんはちょっと印象が違うんですよね。明けっぴろげというか、天真爛漫というか、怒りもあるけど基本的に楽観的というか。

是澤:ライブに対する気持ちが変わったのは本当に最近なんです。昔は歌うことが気持ちいいだけだったんですけど、東京に出てきて色んな人のライブを観るようになって、もっとお客さんを楽しませたいと思うようになりました。でも「お客さんを楽しませたい」とか言うと、自分では内心“それって綺麗事かも”とか思ったりもして。

●そうですよね。

是澤:だからニュアンスとしては“一緒に楽しもうよ”という感じかな。オーディションの全国大会のときもそうだったんですけど、最初はMCとか全然できなかったんですよ。それが最近はちょっとずつ変わってきました。さっきおっしゃいましたけど、基本的に楽観的なんです。怒りを歌ったりもしていますけど、あまり根に持たないというか、感情を歌にしたらスッキリする。

●すごく健康的な音楽との付き合い方ですね(笑)。

是澤:そうですね(笑)。

●現在20歳で、曲を作り始めてからまだ2年くらいしか経っていないですが、以前と比べて作る曲は変わってきたんですか?

是澤:変わりました。昔はバラードっぽい歌が多かったんですけど、私はアップテンポな曲が好きだから、だんだんとそっちに。

●なぜアップテンポが好きなんですか?

是澤:かっこいいから。

●かっこいいから?

是澤:「かわいい」と言われるより「かっこいい」と言われたいんです。女の子で歌っている人ってかわいい人が多いじゃないですか。でも私はみんなに「かわいい」と言われるほどの顔を持ってないし。

●そんなことないよ(笑)。

是澤:いや、でも「かっこいい」と言われたいんです。だからM-2「Say yeah」やM-3「ハロー」みたいなアップテンポな曲が好きで。ロックというか、バンドが好きなんです。

●是澤さんの歌は一人称が“僕”じゃないですか。そのことに関係しているんでしょうか?

是澤:“私”よりも“僕”の方が一生懸命伝えている感があるんです。それに“僕”の方が気持ちを乗せやすいし。でも「かっこいい」と言われたいということと関係しているかもしれないですね。

●見た目とかじゃなくて、本質や気持ちを理解して欲しいというか、人間として見て欲しい。

是澤:そうですね。そうかもしれないです。今まで考えたことはなかったですけど、やっぱり中身を見て欲しいという気持ちはあります。

●最後に、今作の歌詞によく出てくる“夢”…是澤さんの夢は何ですか?

是澤:ずっと支えてもらったお母さんとかに「音楽でちゃんとやってるよ」って言えるようになりたいですね。「これが私の仕事だよ」ってちゃんと言いたい。

●それはM-5「7304日」で歌っていることの延長ですね。

是澤:そうですね。私の夢は好きなことをやること…それは音楽だからいまも夢の途中だし、何かが叶ってもまた次の目標が生まれると思うので、音楽をやっている限り夢は終わらないです。

interview:Takeshi.Yamanaka

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